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監事の評議員会への出席義務について~社会福祉法人

公認会計士・税理士 森 智幸

1.監事の説明義務

 平成29年に改正された社会福祉法では、監事は理事会に出席する義務が課せられました(社会福祉法(以下「法」)45条の18③、一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」)101条①)。)この論点については、過去ブログ「理事長や監事が欠席した場合の理事会について~社会福祉法人」に記載しています。

 

 では、監事は評議員会へも出席しなければならないのでしょうか?

 実は、社会福祉法においては、監事は評議員会への出席義務は定められていません。

 

 しかしながら、社会福祉法では、理事及び監事は、評議員会において、評議員から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならないとされています(法45条の10)。

 

 これは、理事及び監事の説明義務といわれます。

2.説明義務の趣旨

 社会福祉法人では、評議員は、評議員会において、法令及び定款で定めた事項に限り、決議をすることができます(45条の8②)すなわち、社会福祉法人の業務執行は理事長と業務執行理事が行い(法45条の16②)、評議員は業務執行には携わりません。

 

 このように、評議員は、社会福祉法人の業務執行には携わらないため、理事の業務執行の詳細な状況を知ることができません。

 

 しかしながら、評議員会での決議事項について、合理的な判断に基づいて決議を行うためには、法人の情報を知る必要があります。

 そのため、法は、例えば、定時評議員会の招集の通知に際して、計算書類及び事業報告並びに監査報告を提供すること(45条の29)や計算書類等を定時評議員会の2週間前の日から備え置くことを要求するなど(法45条の32①)、社会福祉法人に対して情報開示を義務付けています。

 

 このように法は様々な情報開示制度を設けていますが、評議員の中には、提供された情報に加えてさらに詳細な情報も知りたいという人もいるかも知れません。そこで、理事及び監事は、原則として、評議員会において、評議員から特定の事項について説明を求められた場合には、当該事項について必要な説明をしなければならないとされているわけです。

3.監事は出席しなければならないのか?

 それでは、監事は評議員会へ出席しなければならないのかという論点ですが、確かに、法令上は出席義務はありませんが、このように評議員に対する説明義務が課せられていることから、監事も評議員会に出席する必要があるといえます。

 

 監事は、会計監査権と業務監査権を持っていますが、評議員から例えば、計算書類に対する疑問点やその疑問点について適正と判断した理由など、監事の職務に関する事項を聞かれた場合、答えられるのは監事しかいません。理事では、会計監査権や業務監査権に関する回答はできないからです。

 従って、監事の説明義務を果たすためには、監事も評議員会に出席する必要があるといえるでしょう。

 

 なお、「理事及び監事」とされていることから、理事、監事ともに説明義務があります。従って、理事、監事ともに評議員会に出席する必要があるといえます。