公認会計士・税理士 森 智幸
1.はじめに
令和2年9月16日付で、安倍内閣が総辞職し、菅内閣が発足しました。
私個人の感想ですが、安倍内閣はこれまでの内閣のうち、最も国民と向き合ってきた内閣ではなかったかと思っています。
今回は番外ですが、安倍内閣の業績について書いてみたいと思います。
2.新型コロナウイルス感染症拡大時の対応
安倍内閣は、国民が希望していることや国民がおかしいと思っていることについて、かなり早く対応してきたと思います。このあたりは官邸主導による効果が出ていたと思います。
例えば、あおり運転の厳罰化は、あおり運転による死亡事件がきっかけですが、道路交通法の改正に至るまでの時間はかなり早かったという印象です。推測ですが、このあたりは安倍内閣が素早く対応したのではないかと思います。
このブログは会計系のブログなので、会計関連について記載しますが、私が驚いたことのひとつは、新型コロナウイルス感染症が拡大する中、株主総会運営の柔軟化が一気に進んだことです。
令和2年4月4日付の当ブログ「一般社団法人・公益社団法人の社員総会の運営対策~新型コロナウイルス感染症の影響」でも記載しましたが、令和2年4月2日付で経済産業省は法務省とともに「株主総会運営に係るQ&A 」を公表しました。
この中では、例えば、「会場に入場できる株主の人数を制限することや会場に株主が出席していない状態で株主総会を開催すること」も「可能」とするなど、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、現行法の枠内ではありますが、ある意味、革命的な見解が公表されました。
現行法では、総会の「場所」を決定しなければならないので、バーチャルオンリー型の総会を開催することは不可能ですが、このQ&Aでは、現行法でも、場所さえ決定されていれば、出席株主ゼロでも株主総会開催は可能と明確に示されました。
もちろん、経済産業省は以前からバーチャル総会の実現について、法務省とも連携しながら研究を続けて来たので、ある程度の下地はできていたと思います。
しかし、4月2日時点で経済産業省と法務省が連名で「可能」とはっきりと言い切るとは驚きでした。
通常であれば、「株主の保護が・・・」と始まって、結局結論がはっきりしないところではないかと思いますが、今回は、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、国民の健康、国民の安全確保のために、このような行為指針を明確化したところが大変素晴らしいと思いました。
推測ですが、この背景には、かなり強力な内閣の指示があったのではないかと思います。
このようなときは、官僚主導だと、省内の調整、さらに、他の省との調整と調整に時間がかかるのが通常です。
これが、4月2日時点で、経済産業省と法務省との連名でクリアーな内容で出てきたのは、安倍内閣による指示で、このような調整に時間をかけさせないようにしたのではないかと思っています。また、おそらく、経済産業省の官僚の中にも、このような柔軟な指針を示したいと思っていた人がいると思います。このような官僚の意見を反映できるようにもしたのではないでしょうか。
3.安倍内閣の継承
残念ながら健康上の問題で安倍内閣は総辞職することになりましたが、安倍内閣の政策を継承できる内閣として菅内閣が発足しました。
今後の我が国の課題のひとつとして、デジタル化の促進があります。デジタル化においても、国民のニーズを反映した政策を打ち出していただきたいと思います。