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神姫バスがパンや青果物を運搬~貨客混載

公認会計士・税理士  森 智幸

1.はじめに

 少し前になりますが、2021年7月19日の日本経済新聞の関西版に「路線バスでパンや青果物を運搬 神姫バスが貨客混載拡大」という記事がありました。

 貨客混載事業は、新型コロナウイルス感染症の発生以前より規制緩和により行われていましたが、コロナ禍により乗客数が激減している中、収益確保の手段として鉄道会社やバス会社などで広がりを見せています。

 今回は、神姫バスの取り組みをもとに貨客混載のメリットを記載してみたいと思います。

 なお、本稿は私見であることにご留意ください。

2.貨客混載のメリット

(1)神姫バスの取り組み

神姫バス
神姫バス

 日本経済新聞の記事によると、以前より貨客混載サービスを行っている神姫バスが、新たに小野市で営業する食パン店の商品を、路線バスで三宮に運ぶサービスを始めたということです。

 三宮に着いたパンは「神戸三宮バスターミナルの待合所で、グループのバスガイドが販売する」ということです。

 

 神姫バスは兵庫県を地盤とするバス会社です。「神姫」は神戸の「神」と姫路の「姫」を指します。路線バスの他、高速バスも運行しています。路線バスはオレンジ色の車体が特徴です。 

(2)運送側のメリット

 運送側のメリットとしては、新型コロナウイルス感染症の影響により乗客数が落ち込む中、固定費の回収に役立つという点が考えられます。

 

 路線バスの場合、「今日は乗客数が少なそうだから、運転するのはやめようか」というわけには行きません。必ず、ダイヤに従った運行をする必要があります。

 固定費とは、操業度に関わらず発生する費用なので、ガソリン代といった燃料費、運転手の給料、バスの減価償却費が固定費になると考えられます。

 

 これらの固定費は、仮に乗客数がゼロ人であっても発生しますから、貨客混載により輸送料を得られれば、少しでも固定費の回収に役立ちます。

(3)依頼側のメリット

 依頼側のメリットは、新たな流通ルートを開拓できるという点が考えられます。

 記事にも「荷物を委託する側にも輸送の負担軽減や都市部への販路開拓などのメリットがあるという。」と記載されています。

 

 小野市の食パンを購入しようとなると、小野市まで行かないといけませんが、小野市は神戸から行くとなるとかなり遠方になります。神戸電鉄も通っていますが、かなり時間がかかります。

 

 以下はGoogle Mapによる小野市の地図です。

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 しかし、小野市の食パンを三宮で購入できるとなると、神戸の人は便利です。

 

 従来であれば、小野市の店舗が三宮で販売するとなると、三宮に店舗を開設して販売する、あるいは三宮の阪急百貨店あたりで販売してもらうということになりますが、店舗の開設は売上が予想よりも少なかった場合のリスクがありますし、百貨店に卸すにしても実績がないと簡単には仕入れてくれません。

 

 その点を考えると、神姫バスによって三宮に運送し、販売してもらえるとなると低いリスクで都市部で販売できるというメリットがあります。

 また、これにより、神戸の人が小野市の食パンを知ることができるので、新たな顧客が増えることになります。

 この結果、新たな流通ルートが開拓できるということになります。

3.おわりに

 我が国は人手不足も深刻な問題です。運送ドライバーが不足しつつある中、貨客混載が広まれば、人手不足の解消に少しでも役立つことになります。

 また、貨客混載は、依頼側には低リスクで、離れた地域への新たな流通ルートを開拓できる可能性があるので、メリットがあります。

 今後も貨客混載が広がることが期待されます。 

【参考】毎日放送のYou Tube動画です