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社員総会・評議員会の招集通知を電子メールで発する場合の注意点~公益法人

公認会計士・税理士 森 智幸

KEY POINTS

  • 理事会を設置している公益社団法人および一般社団法人、公益財団法人・一般財団法人では社員総会又は評議員会の招集通知は原則として書面で発しなければならない。
  • しかし、あらかじめ社員又は評議員の承諾を得た場合は、電磁的方法により招集通知を発することもできる。
  • この承諾を得ないで電磁的方法により招集通知を発した場合は、法令に抵触することになるので注意が必要である。

1 はじめに

 公益社団法人、公益財団法人(以下「公益法人」)、一般社団法人、一般財団法人(以下「一般法人」)では、社員総会や評議員会の招集通知を書面で郵送する法人が多いと思います。

 しかし、この招集通知についてはメールで発することもできます。ただし、その場合は、法令上、一定の要件を満たす必要があります。

 今回はその点について記載します。

 なお、本稿は私見であることにご留意ください。

2 招集通知を電子メールで発出する場合の注意点

 我が国の公益社団法人、一般社団法人では理事会を設置している法人がほとんどだと思います。(なお、公益財団法人、一般財団法人は理事会の設置が必要(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下「一般法」)170条)。

 

 このように理事会を設置している法人の場合、社員総会や評議員会の招集通知は原則として書面で行わなければなりません(一般法39条2項、182条1項)。

 

 しかしながら、公益法人、一般法人においては書面ではなく、電磁的方法で発することができます(一般法39条3項、182条1項)

 電磁的方法の具体的な方法については、例えば電子メールによる方法が想定されます。

 

 ただし、電子メールで招集通知を発する場合は、社員又は評議員の承諾を得る必要があります(一般法39条3項、182条1項)。

 具体的には、あらかじめ、当該通知の相手方に対し、その用いる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければなりません(一般社団法人及び一般財団法人に関する法律施行令1条1項)。

 

 この承諾を得ないで、電子メールによって招集通知を発した場合は、法令に抵触することになりますので注意が必要です。

 もし、行政庁による立入検査で発覚した場合は、後日、文書での指摘になる可能性が高いと思います。

3 おわりに

 3月決算の公益法人、一般法人は5月下旬から6月下旬において社員総会又は評議員会が開催されます。

 招集通知を電子メールで送ることができれば、書面で送るよりもコストや手数の面で、かなり効率化されます。

 しかしながら、電子メールで送る場合は、特に上記2の法令の要件を必ず満たす必要があるので注意が必要です。

執筆者:公認会計士・税理士 森 智幸

令和元年に独立開業。株式会社や公益法人のガバナンス強化支援、公益法人コンサルティングなどを行う。

PwCあらた有限責任監査法人リスク・デジタル・アシュアランス部門ではアドバイザリーや財務諸表監査を行う。

これまで、上場会社の財務諸表監査・内部統制監査、アメリカ合衆国への往査、公益法人コンサルティング、海外子会社のJ-SOX支援、内部監査のコソーシング、内部統制構築支援、社会福祉法人監査などに携わる。執筆及びセミナーも多数。


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