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大阪手形交換所が業務終了|我が国の商慣行の改善へ

公認会計士・税理士 森 智幸

1.明治12年(1879年)以来、143年の歴史

 2022年11月2日をもって、大阪手形交換所が業務を終了したということです。

 色々なメディアでニュースが流れていました。

 

 NHKによると、大阪手形交換所は、明治時代、渋沢栄一の呼びかけで作られた「銀行苦楽部」に「大坂交換所」が設けられたのが発祥ということで、143年の歴史があったということです。(「日本で最初の「大阪手形交換所」業務終了 143年の歴史に幕」

 

 以下はテレビ東京のYou Tube動画です。

 これは、紙の手形の取引が少なくなっており、さらに手形そのものを使用している企業が少なくなっていることが背景にあるということです。

 

 私も、財務諸表監査などでいろいろな株式会社を見てきましたが、手形を使用してる会社は滅多にありませんでした。実査でも手形の現物は見た記憶はありません。

 

2.中小企業の資金繰りの改善へ

 手形は決済するまでに60日後、90日後といったように、時間がかかります。

 そのため、受け取った側は現金化するのに時間がかかり、資金繰りにも影響します。もちろん、金融機関に持っていって現金化することもできますが(割引手形)、手数料が発生しますし、手続きにも時間がかかります。

  

 このようなことから、例えば、中小企業庁では2021年(令和3年)3月に、下請業者への支払いについて、可能な限り現金で行うことを要請した文書を発出しています。(「下請代金の支払手段について」

 

 近年は、インターネットの発達もあり、送金も簡単に行うことができるようになりました。政府は2026年度を目処に紙の約束手形を廃止し、決済期限の短い電子手形への移行を進めるという方針のようです。

 

 インターネットの普及後、経済はスピード化が大きく進んでいます。

 

 手形は日本独自の金融手段でしたが、時代が変わり、手形は現代の経済においてはそぐわなくなったといえます。